●須菩提(しゅぼだい)
釈尊在世中の十大弟子の一人です。端正殊妙なるため、須菩提と名づくという。しかし釈尊に帰依する前は悪性にして、すべてのものを瞋り(いかり)罵り、父母に厭われ(いとわれ)、家を捨てて山林に入るが、山神の導きにより、釈尊に会い、瞋恚(しんい)の過ちを懺悔(さんげ)し、阿羅漢果(あらかんが)を得たという。したがって無諍第一(むそうだいいち)といわれる。また、最も優れた特性は空行を修め、空理に通じた点で、解空第一(げくうだいいち)といわれる。釈尊が忉利天(とうりてん)で説法され、もどってきた時に、須菩提は迎えに行かず、釈尊の身体も、我が身体もすべて空であれば迎える者も迎えられる者もないと衣を縫っていた。そのとき釈尊は、自分を一番に礼拝して迎えたのは須菩提であるとほめたという。法華経信解品では名相如来として授記されている。
阿羅漢果(あらかんが)
阿羅漢に到達した境地。この境地に至ると、迷いの世界を流転することなく涅槃(ねはん)に入ることができるとされる。
阿羅漢は、もとは仏の尊称にも用いたが、後世には主として小乗の聖者のみを指す。
無諍第一(むそうだいいち)
言い争いをしないことが優れていた。
参考資料
『日蓮宗事典』
『日蓮聖人遺文辞典 歴史篇』
『大辞林』
『広辞苑』
他
