●久遠実成(くおんじつじょう)
久遠の昔に事実として成仏しているという意味です。法華経の特に如来寿量品第十六で主説される。釈迦牟尼仏はインドの仏陀伽耶の菩提樹下で初めて成道したとされるが、実は五百億塵点劫(ごひゃくおくじんでんごう)の久遠の過去世に成仏し、それ以来常に娑婆世界に在って人々を教化(きょうけ)してきたとされる。
五百億塵点劫について
法華経に譬えられています。三千大千世界を五百千万億那由佗阿僧祇というほど多数集め、それを悉く磨りつぶし微塵とします。その微塵を一粒ずつ取り出し東方に五百千万億那由佗阿僧祇の国をすぎたところに一粒おき、それよりさらに東方に五百千万億那由佗阿僧祇の国をすぎたところに一粒おき、このようにしてその微塵をおき尽くし、微塵をおいた世界とおかない世界を全部をひとまとめし、それを悉く磨りつぶして一微塵を一劫と数えたとして、またこれに過ぎたること百千万億那由佗阿僧祇劫という時間が経っているという。
到底計算出来ないほどの長い時間です。
三千大千世界とは
古代インドの世界観において、一つの宇宙体を意味する語。数限りない世界を含み込んだ宇宙全体。計り知れないほど広大な世界。その構成は次の通り。
須弥山を中心として周囲に九山八海があり、上は色界の初禅天(天の世界の一つ)、下は風輪(地下を支える地下層の一つ)にいたるまでの範囲を小世界といい、小世界が千集まって小千世界、小千世界が千集まって中千世界、中千世界が千集まって大千世界という。小中大の三種の千世界によって構成されているところから三千大千世界と称する。
百千万億那由佗阿僧祇劫とは
百千万億=数えることができない大きな数のこと。
那由佗=普通は一千億とするが諸説あり、きわめて大きい数をいう。
阿僧祇=無数の意。
劫=きわめて長い時間をさす。方高40里(四角の一辺と高さが約160㎞)の城に芥子(けし)を満たし3年毎に1粒を取り去りそのすべてを取り尽くすに至る間を一劫とする一つの説がある。
参考資料
『日蓮辞典』
『日蓮宗事典』
『日蓮聖人遺文 教学篇』
『法華経講義 下』
『お題目がわかる本』
他
