●十 界
地獄界=瞋恚(しんに)の心です。
我々の心を悩乱する迷心でわがままから起こり、自分の考えとちがうものに対し不愉快を感ずるというのは、この瞋恚の心のあらわれです。
餓鬼界=貪欲(とんよく)の心です。
我々の心中に起こる貪るという迷妄(物事の道理を知らず、誤りを真実と思い込むこと)のことです。
畜生界=愚痴(ぐち)の心です。
前後を考えず何事でも眼の前のことのみ考え、物事に適確な判断が下せないことです。
修羅界=諂曲(てんごく)の心です。
「こじつける」ということです。すなわち、自己に都合のよいように解釈し、正しい道理を曲げる心持ちです。
人間界=平正(びょうじょう)の心です。
貪欲・瞋恚・愚痴・諂曲 などの迷いの心が起きても、反省してその迷妄心を抑えて平穏な状態に戻ることができることです。
天上界=歓喜(かんぎ)の心のことです。
我々の心の中に歓喜(大いに喜ぶこと)の心が充満している状態です。
声聞(しょうもん)界=仏さまの声を聞いて覚る心のことです。
声で聞くという文字のとおり、耳に仏さまの教えを聞いて無情を感じ、世の中に囚われない心持ちを作ることです。
四諦を覚ることも含まれる。
縁覚(えんがく)界=縁によって覚る心です。
仏さまの教えを耳に聞くのみならず、日頃出会う事柄に思い合わせてその深い意味を覚ることです。
十二因縁を覚ることも含まれる。
菩薩界=仏となろうと志求して修行を励む心です。
仏道に入り自ら覚りを求め化益(人々を仏道に導くことと、利益を与えること)の行を修する。
六波羅蜜を覚ることも含まれる。
仏 界=迷いを離れて諸法の真理を覚り、自覚・覚他の二行を完成し絶対の境界にある心です。仏さまのことです。
一念三千を覚ることも含まれる。
参考資料
『法華経大講座』
『お題目が分かる本』
他
