●多宝如来(たほうにょらい)
宝塔が涌出
お釈迦様が説法をしている時大地が割れて、高さ五百由旬(3200~6000キロ)、縦横二百五十由旬もある壮大な塔が涌き出して空中にとどまった。一由旬が一説には十六里あるいは三十里とかいわれます。
想像を絶するような大きな塔が現れたのです。この塔は種々の宝物や装飾品で飾られすばらしく立派のものです。
多宝如来
この塔の中には多宝如来という仏がおられ、この仏がお釈迦様のお説きになった法華経は真実であると証明されたのです。ですからこの仏のことを「証明仏」といいます。また塔を多宝塔と呼びます。
この塔の中に如来の全身がましますのである。それは多宝如来という仏であるが、この仏は遠い昔遥か宝浄という国におられたが、かつて菩薩であった時、自分が成仏して入滅した後に法華経が説かれるところがあれば、どんなところでもこの塔とともに出現して、その説法が真実であることを証明しようという誓願を立てられるので、今そのようにされたのである。
二仏並座(にぶつびょうざ)
三変土田、こうして集まってきた無数の仏たちは、おのおの侍者をお釈迦様のもとに遣わしてご機嫌伺いをした後に多宝塔の扉を開けて欲しいと願っていることを伝えさせました。この願いを受け入れたお釈迦様は空中に昇って右の指をもって塔の扉を開けましたが、城門を開く時のような大きな音がしたと言います。中を拝すると、多宝如来が完全な肉体を具え、禅定に入った状態で坐っていられるのが見えました。ここで多宝如来はお釈迦様を塔の中に招き入れ、半座を分かって坐るようにしましたので、二仏が並んで坐る形になりました。そして、お釈迦様は大衆の希望を察してかれらを空中に昇らせました。
参考資料
『法華経講義上 法華三部経略講』
他
