●愛染明王(あいぜんみょうおう)
この明王は愛欲を司る神。愛染王ともいう。真言密教の明王部の本尊の一つ。明王とは大日如来の教令を受けて忿怒身を現じて諸の悪魔を降伏する諸尊をいう。従って愛染明王の根本の本地は大日如来である。が、直接には金剛薩埵(こんごうさった)の所変である。愛欲の迷いを加持浄化して煩悩即菩提の悟りを得させる力があると信じられ、日本では不動明王と並んで密教信仰の中心に位置している。
日蓮聖人は建長6年(1254)、生身の愛染明王を感見したことが、『不動愛染感見記』に見える。日蓮聖人の顕された十界の大曼荼羅の左右の梵字を、古来から右のカン字を不動明王、左のウン字を愛染明王の種字とし、不動が生死即涅槃、愛染が煩悩即菩提を示して、大曼荼羅の法門を顕現していると口伝されてきた。
日蓮聖人の教学に強い影響を及ぼしいていると考えられる。
しかし、日蓮聖人の真蹟遺文からは左右の梵字を不動・愛染とする積極的な文証は出てこないそうです。
金剛薩埵(こんごうさった)
密教の付法八祖の第二。像は,右手には金剛杵(しよ)を持ち,左手は拳を握るか鈴を持つ姿。金剛手。執金剛秘密主。金剛蔵。金薩。
付法の八祖(ふほうのはっそ)
真言宗で,教法を伝授継承したとされる教主大日如来から空海に至る八人の祖師。すなわち,大日如来・金剛薩埵・竜猛・竜智・金剛智・不空・恵果・空海。
参考資料
『日蓮宗事典』
『日蓮聖人遺文辞典 歴史篇』
『大辞林』
他
