●観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)
南方補陀落浄土(なんぽうふだらくじょうど)の主。世の人が救いを求める音声を観知し、多くの変化身(へんげしん)をもってどこにでも自在に出現して救済してくれる菩薩であるので、観自在菩薩・観世自在菩薩・救世菩薩(ぐぜばさつ)などといい、また一切の畏怖をなくしてくれるので施無畏者(せむいしゃ)ともいう。略して観音。法華経にはこの菩薩の慈悲と救済力が抜群であることを説く観世音菩薩普門品があり、観無量寿経では智恵を表わす勢至菩薩に対して慈悲を表わす脇侍(きようじ)とされ、密教では胎蔵界曼荼羅の中台八葉院の西北にあり、また蓮華部院(観音院)の主尊に祀られている。わが国では仏法受容以来宗派を問わず信仰されてきたが、日蓮聖人は観音を、阿弥陀仏の弟子で迹化他方(しやつけたほう)の菩薩ではあるが釈尊の説法を聞いて法華経の行者を守護するようになったとしている。
畏怖(いふ)
大いにおそれること。おそれかしこまること。『大辞林』
無畏(むい)
仏・菩薩のそなえる徳の一。智慧があるため、教えを説くときに自信にあふれ何ものも怖れないこと。『大辞林』
脇侍(きようじ)
本尊の両脇にまたは周囲に侍して教化を助けるもの。『大辞林』
迹化他方(しゃっけたほう)
迹化の菩薩と他方の菩薩のこと。迹化の菩薩とは、法華経迹門の仏に教化された菩薩衆のこと。他方の菩薩とは、他方の国土唐子の娑婆世界に遊化してきた菩薩。『日蓮聖人遺文辞典 教学篇』
教化(きょうけ)
人々に仏教を説いて、信仰に向かわせること。『大辞林』
参考資料
『日蓮宗電子辞書 語注7』
他