●七面山の天女(しちめんざんのてんにょ)
身延七面山に伝わる伝説である。日蓮聖人が身延に於いて隠棲中のこと、しばしば20歳くらいの高貴な女性が、柳色の衣に紅梅の袴を着けて、日蓮聖人の法華経を読誦しているのを聞いていた。大檀那の波木井実長らは何人かを知らず、怪しんだ。ある日、日蓮聖人は性に問いました。その女「私は身延山の一峯である七面山の池に棲む身であって、聖人の法華経読誦を聴聞し、もろもろの苦悩をまぬがれたいと願っているのです。」と女は答えた。そこで日蓮聖人は大曼荼羅を授与した。そして、この女性は弁才天女であって、霊鷲山の法華経の会座にて、法華経の行者を守護するとの誓約をたてたのであると説明した。阿伽棚(あかだな)の花瓶をとり出して、女の前に置き、影を写させたところ、忽ち高貴の姿は変じて一丈余りの赤い竜の身となった。日蓮聖人が「今より、永く七面山に棲んで、身延山の水火兵乱等の七難をはらい、七堂を護るように」と申されるのを聞き、深くうなずき七面山の池に帰り、水底深く潜んでいったという。
隠棲(いんせい)
世間から離れて,ひっそりと暮らすこと。 『大辞林』
檀那(だんな)
①布施。与えること。②檀越。布施をする人を寺や僧の側からいう語。『大辞林』
波木井実長(はきいさねなが)
南部実長(なんぶさねなが)のこと。鎌倉時代中期の御家人。南部光行の三男。八戸氏(根城南部氏)の祖。日蓮の有力壇越として知られ、また甲斐国波木井(はきり)に居住したことから波木井実長とも呼ばれる。『ウィキペディア』参考
阿伽棚(あかだな)
阿伽とは「価値あるもの」の意。功徳水(くどくすい)と訳す。
神仏に供えるもの。一般には,仏に供える水。また,その水を入れる器。『大辞林』参考
閼伽を阿伽・遏伽とも書かれる。『ブリタニカ国際大百科事典』参考
閼伽を供える棚を「閼伽棚」と称される。『ウィキペディア』参考
参考資料
『日蓮宗事典』
他